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5時限目の理科の授業。
いつもなら一番気合が入る授業なのに、今日は気合が入らない。
それは、今私の手の中にあるこの赤いボールペンのせいだ。
なんの変哲も無い、3本100円で売ってありそうな普通のボールペン。
これはあなたが昨日の放課後、忘れていったもの。
私の解いた問題をそのペンで添削してくれて、そのまま忘れていったね。
すぐに返したかったけど、もうあなたは帰っていたから家に持って帰ったんだ。
昨夜もいつものように今日あなたに添削してもらうために問題を解いていたんだけど、
その側にこのボールペンを置いていたの。
最低って思われそうだけど、大好きなあなたがいつも使っているこのペン。
欲しいなって思った。
このまま、机の中にしまってしまおうかって思いながらこのペンを見つめていたらね、
「どんな変哲の無い物だったとしても、その人にとってはとても大切な宝物なのかもしれない」
そう思った。
このペンがあなたにとって、ただのペンかもしれないけど、もしかして思い出の詰まった宝物なのかもしれない。
そう思ったら、明日まで大切に保管して返さないとって思ったんだ。
私にもそうゆうもの、あるから。
でも、いったいどんな思い出がつまってたりする?
私たち生徒のノートにひとりひとり丁寧にコメントした・・・
きっと、使いこんで、生徒への思いも詰まっているんだろうな。
このペンじゃないと字が書けない・・・
そんなことってあるのかな(笑)
彼女から貰った・・・
そんなの嫌。いっそ捨ててやりたい。でも、そんなことないって信じたい。
・・・
授業終了のチャイムが鳴った。
私はあなたにペンを返した。
「わざわざありがとう」
あなたは笑顔で言った。
今日のこの瞬間が、このペンに思い出として残ってくれることを、
そしてそれがあなたにとって宝物になれば良いなと、後ろめたさとともに、わがままにもそう思ってみたい。